E'b vol.123

vol.123  美容業における不易と流行(2)


「江戸時代に松尾芭蕉(1644〜1684年)は、俳句の精神を『不易流行』と説きました。

どんな時代になろうとも本質は変えてはいけない、おろそかにしてはいけない。これ

が『不易』です。それに対して、時代の流れに応じて必要なものは変えていかなければ

ならないとするのが『流行』です。変えてはいけない本質的なものと、移りゆく世の中

の現象に応じて変えていくべきものがある、というのが『不易流行』です」

(池田繁美 いばらき教員応援団研修会講演録第八集『教育における不易と流行』より)

美容業界にも「不易流行」はあります。私はこの職に就(つ)いて30年近くなります

が、今でも流行のヘアスタイルを創り上げる勉強や工夫が楽しくて仕方がありません。

「この職はきっと天職だ」と感じるほどです。美容師は、世の中の流行を敏感にキャッ

チし、臨機応変に対応する「専門性」(HAND、HEAD)への取り組みを怠ってはいけま

せん。そして同時に、その専門技術を通じて周囲の方に「不快さを与えず、安心と喜び

を与える」という思いやりの心を大事にしなければならないのです。それが、いつまで

も変えてはいけない本質的な「人間性」(HEART)だからです。「不易」である「人間性」

(HEART)と「流行」である「専門性」(HAND、HEAD)は、どちらも美容業界に身を置

く人にとって必要なものなのです。私は15年間、「人間性」を養う「素心学」を学んで

います。その学びを実践するステージが、美容室ブレスにほかなりません。また、かけ

がえのない家族や社員に対しては、そのことを正しく伝えるべく「師表(しひょう)徳

化(とっか)」(みずから手本となり、まわりを感化すること)を実践し、私がかつて与

えられたように「人間学を学ぶ場」をこれからも提供していくつもりです。ありがとう

ございます。       素心学塾開塾二十五周年記念誌「素心の譜」塾生寄稿より

0コメント

  • 1000 / 1000