E'b vol.137
vol.137 心がまえ
崔後渠(さいこうきょ/1478〜1541年)が説いた「六然訓」(りくぜんくん)につい
て、前号では私に勇気を与えてくれる「座右の銘」である六つの心がまえのうち、前
半の三つについて述べました。本号では後半の三つに触れてまいります。
『無事澄然』
なにごともないときには、澄みきったおだやかな気持ちで過ごすこと。澄然(ちょう
ぜん)とは透明で澄んだ水のさまです。些細なことでイライラして周囲の人に不快さ
を与えたり、クヨクヨして心を病んだりしないように、平静を保ちたいものです。
『得意澹然』
調子がよいときは、それにとらわれず、あっさりとした心をもつこと。澹(たん)は
「淡い」さまです。「成功は自分のおかげ、失敗は他人のせい」という考え方で有頂天
になることは控えなければなりません。「成功は他人のおかげ、失敗は自分のせい」
という謙虚な心で、図にのることなく淡々と日常を過ごしたいものです。
『失意泰然』
ものごとがうまくいかないときでも落胆せず、ゆったりとした気持をもっておくこと。
泰然(たいぜん)は、落ちついてものごとに動じないさまです。現在、新型コロナウ
イルス感染症の流行が終息せず、見通しが立たない状況の中で多くの方々が、失意を
抱えながら大変な苦労をされています。先日の出来事ですが「大変すぎて涙も出ない」
と打ち明ける瀬戸ぎわの方に対して、その場で私は返答する言葉に戸惑い、残念なが
ら本心を伝えることができませんでした。
「仏のこころ」 追いつめられて 初めて人間は 本ものになる だから本ものに
なるためには 絶体絶命の瀬戸ぎわに 立たされねばならぬ 坂村 真民
誰もが「大変な時こそ、大きく変われる時に違いない」そのように私は信じています。
ありがとうございます。
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