E’b vol.134

vol.134 柔弱謙下



先日、バックヤードで洗い物をしている実習生の姿にハッとしました。なぜなら水

道の使用量が「えんぴつ一本分」だったからです。理由を尋ねてみると、バイト先

の居酒屋で新しいスタッフが入った途端に水道料金が跳ね上がり、それ以来使用量

に気をつけるようになったとのことでした。「水や電気の節約」に関しては、思いや

りの実践項目として、常日頃からスタッフに対して取り組みのお願いをしています。

特に蛇口をひねる際には、水量を「えんぴつ一本分」にしようと呼びかけ、自ら実

践してまいりました。人は率先垂範すると、その取り組みに対する周りの人の行動

を、敏感にキャッチするものです。「俺がやってるのに、なんでやらないんだ」と

イライラする気持ちは、分からなくもないのですが、そこは責める気持ちを一旦大

きく包み込み「次は、もっとわかりやすく伝えよう」と謙虚に工夫を重ねたいもの

です。またさらには、協力者の行動に対してこそ、細やかな「ねぎらいの言葉」を

忘れてはならないでしょう。

「柔弱」(じゅうじゃく) 人の体は生まれてくるとき弱々しく柔らかいが、死ぬと固

く強ばってしまう。草木やその他の生命も生まれてくるときは柔らかで脆くみえる

が、死ぬと固く干からびてぼろぼろになってしまう。つまり固く強ばっている方が

死に近く、柔らかく弱々しい方が生に近いのだ。だから軍隊がいくら強くとも力攻

めでは勝てないし、樹木に柔軟性がなければ簡単に折れてしまう。このように強く

大きなものこそ下にあり、弱く柔らかいものこそが上にあるのだ。「老子」現代語訳

人はやわらかく生まれて、かたくなって死ぬ。植物も同じ。一見強そうなものはも

ろくて、やわらかくて弱そうなものが生き残るのが道理とのことです。だからこそ

誰に対しても、いかなる状況おいても、人や世の中のせいにすることは控えて、逆

らわず変化してまいります。風に吹かれてしなやかに揺れる柳のように。ありがと

うございます。

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