E'b vol.84
vol.84 ことばを選ぼう
なかなか起きて来ないので起こしに行ってみると”今日一日だけでいいから、学校休ま
せて”と中学二年生の息子が言い出しました。詳しく尋ねてみると、今のクラスに一年
生の時に、同じクラスだった生徒が、一人もいなかったこともあり、馴染めていないと
いうこと、アトピー性皮膚炎からの顔の炎症を、数名の男子から”フランケン”とから
かわれるのが辛い、ということでした。誰とでも仲良く付き合えるように、積極性を持
って人間関係を築き、多少からかわれたぐらい気にせずに言い返せ、と言いたいところ
ですが、春から一年近く、毎日辛い思いをして、重い足を引きずりながら、通学してい
たのかと思うと、そんな正論は、今の息子に対して適切ではないように思いました。古
くから我が国では、言霊といわれるように、言葉には大きな力が宿るとされています。
だからこそbreathではことばに関しては”日常の心がけ”として”正しくやさしいこと
ばづかい”と”グチや悪口はひかえる”という二つの事を大切にしています。
”人間の悲しい性” 泥棒と悪口は、どちらが悪いかー。わたしたちは、生活を根底から
ひっくり返されるような被害でない限り、泥棒にあっても、だんだんと忘れてしまうもの
です。少しは傷つくかもしれませんが、泥棒にあっただけで自殺したという話はあまり聞
きません。しかし他人から悪口を言われ、それを苦にして死んだという人がいます。ある
嫁と姑の話です。お嫁さんが友達に、”うちのおばあちゃん、食いしんぼうでご飯を三杯も
食べるのよ”と言ったところ、憤慨したおばあさんは、それ以来、食べ物をいっさい口に
せず、とうとう死んでしまったそうです。 三浦綾子さん(作家)
息子はそれから先生の迅速なクラス指導のおかげもあり、一日限りの不登校の後は、部
活動の楽しさや、その仲間を支えに通学することが出来ていますが、人の悪口が楽しい
という悲しい性を持った私たちは、誰に対してでも、正しく(内容)やさしい(口調)
ことばづかいを心がけ、慎重にことばを選ばなければいけません。ところで私自身を振
り返ってみますと職場のスタッフやお客様に対しては、以前に比べると、随分実行出来
るようになってきましたが、一番身近な家族に対しては、まだまだ合格点はもらえない
ようです。ありがとうございます。
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