E'b vol.194
vol.194
心を込めよう
三回目のご来店をいただいたお客様からの「前回気がついたことがあるので、お伝え
してもいいですか」という言葉にドキドキしながら、お話を伺ってみると「ドライヤ
ーの置き方がとても丁寧ですね」とお褒めの言葉を頂戴しました。さらには「髪に触
れる手つきやシャンプーの指づかいに心が表れている・・」と仰るのです。そのとき
私は息子と一緒にその方のブローをしている最中でしたので、やがては「お父さんは
スゴイ」という話の展開になり鼻高々でした。ドライヤーの置き方に関しては今まで
特に気をつけたことも、褒められたこともありませんでしたが、人は自分自身が「心
を込めて」気を付けていることに対しては、敏感に察知できるものなんだろうなと思
いました。またそれとは反対に、人は自分自身が意識していないことに対しては鈍感
で、それが原因となり知らず知らずのうちに周囲の人に対して「不快さ」を与えてい
るのかもしれません。
心のクセは、表情、語調、動作にあらわれていますが、それが正されてきますと、お
のおのがやわらかくなり、全体の雰囲気がやわらいできます。 (素心学の定義)
私は子供の頃から、あらゆることを面倒くさがる性格でした。母から洗濯物をタンス
にいれるように頼まれた際は、あまりの乱雑さから「アンタに頼んだら泥棒が入った
みたい」と常に怒られていましたので、物に対して「心を込める」という意識とは無
縁に育ってきたに違いありません。しかしこの美容業という仕事を生業として生きる
覚悟をもち、先輩から厳しく根気強い指導を受けることで、自らの指先に「心を込め
る」ということを学ぶことが出来ました。しかし人の心は絶えず揺れ動くもので、イ
ライラしたりクヨクヨしたりすると、その心はストレートに表情、語調、動作にあら
われるのです。だからこそ、いかなる時もやわらかく丁寧かつリズミカルな動作で、
周囲の方に安心と喜びを与えられるように、平らな心を保ってまいります。
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