E'b vol.186



vol.186 心を調えよう (2)


馴染みの中学生男子のお客様に「どこに遊びにいくと」と尋ねると、「友達とサウナ

にいきます」とのことでした。そんなに流行ってるのかなと思い調べてみると、マン

ガやドラマの影響で、数年前から空前のサウナブームが巻き起こり、「ととのう」と

いうワードは2019年の流行語大賞にノミネートされたようです。「心を調える」こ

とで、健やかに生きていきたいと願う人が増えているのかもしれません。そして私自

身もまた、そのように願う一人として自宅で出来る15分間のトレーニングを毎日行

っています。それが東洋の座禅と西洋的な瞑想を組合わせた「禅的瞑想」です。人は

朝起きてから夜眠りに就くまで、絶えず何かを思い何かを考えて生きています。それ

は心が緊張している状態です。そこで何か一つのことに集中することで「無心」にな

る。そうして私の心は緊張から開放されて、ときほぐされるのです。



毎日毎日、揺れ動く心を静かに落ち着かせるーこれが禅的瞑想です。そのために、姿

勢を正してすわり、呼吸をととのえます。軽く目を瞑り、数を読むことに集中し、何

も考えないようにします。何も考えない、と言っても、確かに雑念が浮かびます。目

をとじると、いろいろな思いがわいてくるにちがいありません。私たちには、つねに

なにかを思うクセがついているからです。しかし、訓練により、それを切りすてるこ

とができるようになります。つぎつぎと連想して思いをふくらませるのではなく、サ

ッと気持ちを切りかえて無心になる。こうしたことが、練習をくり返すうちに身につ

いてきます。 (『月刊素心』第214号 ビンの中の砂嵐)



アスリートの世界においても超一流と呼ばれる選手は、磨かれた技術を最大限に発揮

するために「心の置きどころ」を求める方が多いように思います。そのような域に達

した方は、表情、語調、動作に力みがなく、柔らかい印象を受けるものですが、この

特性は「勝負の世界」に限らず、人が「味わい深い人生」を歩んでいくために欠かす

ことができない、大切なことであると思えてならないのです。

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