E'b vol.118


vol.118  人間学を学ぼう(5)



「素直が一番ですね」私が身を置く美容業界に限らず、指導的立場の方に「伸びる人材の条件」

を尋ねてみると、多くの方がそのように仰います。そしてその度に私は大きく頷いてしまいま

す。なぜなら私自身がそうであったように技術を習得する際に「素直さ」に欠ける人は「随分

遠回りをしてしまう」という現実を、目の当たりにしてきたからです。そのような方の共通点

としては、(4)でお伝えしました「心のクセ」(自我の意識、業の意識)が過剰に働いているよ

うに思います。その結果として先輩から手ほどきを受ける際に、指摘を受けたら迷わず「はい

わかりました」「ありがとうございます」と全てを受け入れ感謝する、ということがなかなか出

来ないのです。従って先輩は「もうちょっと素直だったらなあ」と残念に思います。しかしな

がら「素直さ」というものは年齢を重ねれば重ねるほど、よほどの努力をしない限りは誰もが

失ってしまいやすいものです。そこで私が学ぶ「素心学」では、一つのことに集中し無心にな

ることで、心のクセを薄れさせ、素直な心に近づくための「五つのトレーニング」に取り組ん

でいます。

 禅的瞑想(ただひたすら、心のなかで数を読み瞑想する) 歩行(ただひたすら、歩く)

 写字(ただひたすら、文字を書き写す) 柔体(ただひたすら、からだをやわらかくする)

 清掃(ただひたすら、掃除をする)  

この無心になる訓練を続けると、熱中して「われを忘れる」とよくいいますが、思考が停止し

なにも考えない、なにも思わない状態が生まれます。するとギザギザに欠けた心のふちが、な

めらかにおだやかになっていきます。いびつにゆがんだ形が、丸くやさしくなっていきます。

かたく縮こまった心が、やわらかく豊かになっていきます。この丸く、やわらかく、大きな心

の状態を目指します。私がこの満たされた心の状態を、何度も何度も心に植え付けて「心の置

き所」をつかむべく努力し続けることは、家庭や会社を治める者として、それにふさわしい人

格を形成するために大切なことに違いない。年頭にあたりそのように意を強くいたしました。

今年も宜しくお願いします。ありがとうございます。

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