E'b vol.178


vol.178

深山の桜(2)

「行橋の皆さま、よろしくお願いします」という思いで、2009年3月1日〜2日の二日

間、美容室ブレスのプレオープン「チャリティキッズカット」を行いました。お子様の

カットを500円でさせて頂き、売上を全額寄付するという企画でしたが、チラシの効果

もあり大盛況の二日間でした。そうして3月3日に3人で、ブレスは華々しくグランド

オープンしました。しかし残念ながらその賑わいは、長く続くものではありませんでし

た。そこで当時の私は「待ってるだけでは潰れてしまう」と思い立ち、行橋駅周辺の小

ぢんまりした飲み屋さんに狙いを定めてカウンターに座り、常連客をブレスに引っ張っ

てくる「夜の営業活動」を、最終電車の23時11分まで毎日続けました。地道な作戦

ですが、おかげさまでそのときのご縁から十年以上に渡り、ブレスに通ってくださる方

も現在多くいらっしゃるのです。深山(みやま)の桜という言葉があります。文字通り、

山奥に咲く桜の木のことです。

たとえ深山の桜でも、いい花を咲かせていたら、人が足を運んでくる。すると、そこに

道ができる。そのとき、深山の桜というのは、たいへんな値打ちがでてくる。

ブレスは行橋市近郊にお住まいのお客様が大半を占める、地域密着型の美容室です。し

かし、「前髪を切る」だけのために門司からワザワザ高速を飛ばして御来店くださる方

や、小倉や博多から沢山の美容室を通り越して、ブレスを「選んで」くださる方もいら

っしゃいます。大変ありがたいことです。また先日は福岡市内から久しぶりに来店され

た、馴染みのお客様に「こんにちは」と声をかけると、素敵な笑顔ですぐさま「会いた

かった〜」という言葉が返ってきました。「いやいや、こっちが会いたかったよ」と思

いましたが、「髪を切りに来てくれた」ことに対する感謝にも増して、「会いに来てくれ

た」喜びで、心が満たされる思いがいたしました。まだまだブレスは「たいへんな値打

ち」には至りませんが、皆さまが「会いに来てくれる」ような「深山の桜」に近づける

ように、いい花を咲かせていきたいと思います。今年もよろしくお願いします。

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