E'b vol.116

vol.116 人間学を学ぼう(3)



私は「素心学塾」で15年ほど素直な心を学んでいます。素直といえばよく「自分の気持ちに素

直に生きるんだ」と言って「自分自身の感情にしたがって行動する」ことを推奨する場合があり

ますが、私は自分勝手な思いのままに行動したり、振舞ったりすることを目指しているわけでは

ありません。素心学では素直さとは「逆らわない生き方」として、具体的にはつぎのふたつの状

態のことと定義されているからです。

1、人の言うことを、「はい、わかりました」と聞き入れることができる。(一切肯定)

2、困ったことが起きても、「起こるべくして起こった、ありがとうございます」と受け止め

  ることができる。(一切感謝)

経営の神様といわれた松下幸之助さんは、「素直さとは、雨が降れば傘をさすようなもの」と

簡明に説かれましたが、以前の私はそのように自然の流れに無理なく従うような、素直さとは

無縁な人間でした。美容師を目指す20歳の私が先輩からシャンプーの手ほどきを受けていた際

に、未熟な私は至らない技術を指摘されるたびに「ハイ」と言う返事の前に、「イヤ」という言

葉が反射的に飛び出して、その後に「出来ない理由」を並べるような、ひねくれ者でした。幸

いbreathに私のような後輩はいませんが、当時の先輩には大変不快な思いをさせてしまったと

反省しています。しかし現在では人から何か言われた時には、例えば有能な社員が「辞めたい」

と申し出てきたとしても、まずは「はい、わかりました」と聞き入れることができるようになり

ました。そして、冷静になって自分自身をふり返り、原因を自己に見つけることで、「起こるべ

くして起こった、ありがとうございます」と受け止めるようにしています。病気、事故、仕事や

経営上の問題、そして人間関係の悩みも、原因は自分自身にあることが多いものです。そのこと

を教えてくれるさまざまな出来事は、すべてが「ありがたい」ことにちがいありません。私は開

業以来、この「素直な心」を意識してさまざまな、経営判断をしてまいりました。しかし意識さ

えすれば、人は素直になれるのかといえば、そう簡単なものではないようです。なぜなら、人の

心には意識が及ばない深いところに、誰しも「心のクセ」が染みついているからです。この「心

のクセ」については次号でお伝えしようと思います。ありがとうございます。

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