vol.175

vol.175  徳は弧ならず

37歳でブレスを開業した私が来年52歳になりますので、ブレスは年が明ければ15周

年です。この15年間を思い返してみると、縁あって共に働いた後に退社した、スタッ

フ一人一人の顔が浮かんできます。独立して「ステキなお店を構えた方」や、出産を機

に「子育てに専念する方」を含める5名の方が退社しました。15年間で5名という低

い離職率のおかげで、この採用難の時代にありながら、現在のブレスが成り立っている

といえるでしょう。これはひとえに「経営者である私の経営手腕によるものだ」と言っ

たなら、それは大変お目出度い勘違いでしょう。本質的には「行きたくなる職場で働き、

帰りたくなる家庭を築く」ために、壊れやすい「人間関係」を良好に保とうと、スタッ

フ一人一人が、常に努力しているからに違いありません。

たとえ健康であったとしても、おカネに困ることがないとしても、「家族とうまく行ってな

い」「職場で同僚や上司とうまくいってない」ということであれば、しあわせとは言いがた

いでしょう。人を悪く思ったり、憎しみあったりすることもない。信頼できる相手がいて、お

たがいに必要なときには相談したり、力を貸しあったりできる。また、身近な人たちとのあ

いだに、ほのぼのとしたあたたかい空気がただよう。そんな人間関係は、幸福感をさらに

ふくらませてくれます。     『素心学要論』池田繁美著(モラロジー研究所)より

3日間でカットのお客様が1名だけの御来店という珍記録もあったほど「苦しい創業期」を

共に過ごし10年間ブレスを支えてくれた「ハルさん」は、独立した現在も夏と冬にはブレ

スに足を運び、近況報告をしてくれます。持ち前の「笑顔」は沢山のお客様に支持され、

お店はとても順調な様子で嬉しい限りです。身近な人との関係を大切にする彼女の生き方は

「徳は弧ならず、必ず隣あり」(徳をもった人は孤立することはない、必ずとなりに共鳴する

人がいるものだ)ということを教えてくれているようです。

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