E'b vol.113

vol.113 言葉を選ぼう


”人は、好きな人からしか文化を受け取らない”という言葉どうりに、修行時代に授かった 社内でトップの売上を叩き出す、憧れの上司からのひとことは、25年経った今でも私の心に しっかりと根付いています。”まっちゃん、声の大きいお客さんには大きい声で、声の小さい お客さんには小さい声で、相手に合わせて話したらいいよ”という接客のアドバイスでした。 当時私は大型店で働いていましたので、たくさんの先輩から学ぶことができましたが、それ ぞれの接客スタイルは十人十色でさまざまです。最初から最後まで元気よく大きな声でお話 する方もいれば、淡々と仕事を手際良く進めつつ、必要なことだけを小さな声で尋ねる方も います。自分は一体どうしたらいいんだろうと考えていた時期でしたので、その言葉は耳に した瞬間に、心にスーッと入ってきて私にとって”かけがえのない道しるべ”となりました。 しかし振り返ってみると、それ以来の人生において、臨機応変に声の調子を変えることは出 来ても、恥ずかしながらその内容を慎重に選ぶには至らず”余計なひとこと”で目の前の方 に対して、数えきれないほどの不快さを与えてきたように思います。  正しくやさしい言葉づかい どんなに正しいことでも、それを伝えるときには相手をキ  ズつけないような言いかたを工夫しなければなりません。たとえスジのとおったことで  あったとしても、それが相手に受け入れられなければ意味がありません。また、それを  言うことで、相手をキズつけるだけの結果になってしまったのでは、決して「正しい」  とは言えないでしょう。  (素心学要論第五章 素心の実践 P219) 私は正しくやさしい言葉づかいを心がけるようになって、10年ほどになります。正しい内 容と、やさしい口調に関して、まだまだ完全ではありませんが、おかげさまでお客様からは ”スタッフさんに分かりやすい指示をされますね”また”ものの言いかたがやさしいですね。 家でもそんな感じなんですか”というお言葉を、たくさん頂くようになりました。これから も、どんな時でも周囲の人に不快さを与えず、安心と喜びを与えられるように、至らない自 己を正して成長いたします。ありがとうございます。 

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