E'b vol.166
vol.166 自然に身を置こう
以前食事に出かけた際、扉を開けて顔を合わせた瞬間に「時間かかるよっ」と迷惑そ
うな応対を受けたことがあります。カウンター越しの和やかな会話が魅力的なお店で
したので「虫の居所が悪かったのかな」と申し訳ない気持ちで、お店を後にしました。
自分自身を振り返ってみると、若い頃の私は家族で出かける際、少しでも自分の思い
通りにならないことがあると、無言で乱暴な運転をすることで、不機嫌さをアピール
するような人間でした。今思えば家族に対して、長年に渡って不快さを与えていたに
違いありません。そのような行動の原因である「心のクセ」を正す方法として、私は
「意中の人」から「自然行」をすすめられました。「自然行」とは自然豊かな場所を一
人で旅をする修行のことをいいます。修行といっても、私はお坊さんではありません
ので、滝に打たれたり、焚き火の前でお経を唱えたりするわけではありません。自然
豊かな土地を二泊三日程度で、ただひたすらに歩くのです。
自然行で、自我執着からはなれることができる。すると、自我や業にとらわれない、
正しい思いをもつことが出来ます。 『素心学要論』(モラロジー研究所)
昨年、「自然行」から帰ってきた次の日の朝、バイクに乗りました。その際、何故か
車間距離を大きくとっている自分に、ふと気が付きました。荷物をたくさん積んだト
ラックの後ろを走る際に、意識的に離れることはありますが、そのときは無意識で車
間距離をいつもの2〜3倍とっていたのです。「なぜあんなに離れて走っていたのだろ
う」と、その時のことを家に帰ってじっくりと考えてみました。すると、二泊三日の
長い間、自然の中に身を置くことで、私の「心のクセ」が薄まり、穏やかな心の状態
が保たれていたに違いない、と気が付いたのです。そうして無意識のうちに、「正し
い思い」に従った行動をとったのかもしれません。これからも、「自然行」を継続す
ることで、心の置きどころを探し、平らな心で生きていきます。今年もよろしくお願
いします。ありがとうございます。
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