E'b vol.164

vol.164 徳の精神



衣食足りて礼節を知る(人は生活が豊かになって初めて、礼儀正しくなり節度をわき

まえられるようになる)という言葉とは裏腹に、日本は戦後の経済発展により豊かに

なった一方で、人々の心は貧しくなり、道徳の低下を裏付けるようなニュースが後を

絶ちません。「徳」よりも「得」を優先した結果、物は溢れても心は満たされない世

の中になったのかもしれません。我が身を振り返ってみると、若い頃の私は修行先で

任されたサロンの運営において、店舗の売上を自分の手柄と捉えることで、「日曜日

に友人の結婚式に出席してもいいですか」と休日の申請をするスタッフにダメ出しを

する事で、自分の評価を上げようとしていました。また、体調を崩しても無理して仕

事をする自分がカッコイイと思い込み、「38℃以下は熱のうちに入らない」と周囲に

語り、後に続くようにアピールする、「損得勘定」丸出しの店長だったのです。



これからの時代には、「自立」と「調和」の精神を育んでいかなければならないでし

ょう。自立をするためには、「学力」と「体力」が必要です。そして「学力」と「体

力」を生かし、周りの人びとや社会、自然界と調和するには「徳力」が欠かせないの

です。他人と競争し、個人の利益を第一とする「得」の考えではなく、自立した個人

がしっかりと手をつなぎ合って協調し合うための「徳」の精神を学ばなければならな

い時代が来ています。 『素心学要論』池田繁美 素心学塾塾長(モラロジー研究所)



ブレスでは、結婚式、運動会、発表会などに加えて、年に一回程度はそれぞれ好きな

アーティストのライブに合わせて、土日でもスムーズに休日を取れるようにしていま

す。このような社風が定着した要因は、決して経営者である私の「立派な経営判断」

ということではありません。ここで働く一人一人が、「知識」や「技術」を身につけ

たうえで自立し、「徳」(思いやり)を大切にして支え合おうと努力する精神の賜物に

違いありません。ありがとうございます。

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