E'b vol.105
vol.105 健康を守ろう
25年ほど前の思い出です。修業時代は朝から行列ができるほどの、小倉の繁盛サロ
ンでお世話になったおかげで、私はたくさんの仕事を先輩から与えていただきました。
覚えの悪い私にとって日々の圧倒的な仕事量は、技術を習得するために何より有り難
いことでした。私は朝から晩までシャンプー台にはりついて、血がにじむほど荒れた
指から、爪が剥がれ落ちてしまったぐらいシャンプーをし続けました。それでも私は
両親から丈夫な体に育ててもらったおかげで、美容師を辞めようと思ったことは一度
もありません。しかしこれまで手荒れ、腱鞘炎、腰痛をはじめとする、さまざまな体
の不調により、ハサミを置く決断をした方々を、たくさん目の当たりにしてきました。
そしてかつての私ほどではありませんがbreathのスタッフもまた、毎日たくさんの
お客様のシャンプーをさせて頂いています。若い頃の私は”オレも昔は相当やったん
だから、これぐらいのことは頑張れ”という気持ちを後輩に対して抱いていましたが、
今は経営者として職場環境の改善に、覚悟を持って取り組んでいます。
遠きをはかる者は富み 近くをはかる者は貧す それ遠きをはかる者は百年のために
杉苗を植う まして春まきて秋実る物においてをや 故に富有り 近くをはかる者は
春植えて秋実る物をも尚遠しとして植えず 唯眼前の利に迷うてまかずして取り 植
えずして刈り取る事のみ眼につく 故に貧窮す 二宮尊徳
10月のリニューアルに続き、11月は一階のサイドシャンプーを二階と同様のバッ
クシャンプーに変更しました。ひねりが加わる前屈みの姿勢を長時間余儀なくされる
従来のサイドシャンプーは、スタッフの健康に対する影響がとても大きいと判断した
からです。まだまだ使える器具を買い換えることは”無駄な設備投資かな”という思
いが頭をよぎりましたが、目先の利益だけを追い求めることを戒めて、社員の健康を
守るという今回の動機が、いつかきっと”正しい判断だった”と振り返る日が来ると
信じています。ありがとうございます。
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