E'b vol.153

vol.153  探しに行こう


「バッカモーン」と怒鳴るアニメの頑固オヤジのようなおじいさんに、お目にかかる

ことは少なくなりましたが、「年をとって頑固になった」という話はよく耳にします。

脳科学的に人は年をとるにつれて、これまで生きてきた経験を積み重ねた結果、若

い人より知識や体験が多いという自負があるため、自分の「思い」が絶対に正しい

と思い込む傾向があるそうです。この「心のクセ」を「業の意識」といいます。人

は、生まれたときはまっさらな心ですが、年をとるにつれて「心のクセ」がこびり

ついてきます。この「心のクセ」は潜在意識として働きますので、自分ではコント

ロールできません。ではどのようにすれば、この「心のクセ」を正すことができる

のでしょうか。その方法の一つとして、私は「意中の人」から「自然行」をすすめ

られました。「自然行」とは自然豊かな場所を一人で旅をする修行のことをいいます。

しかしながら修行といっても、私はお坊さんではありませんので、滝に打たれたり、

焚火の前でお経を唱えたりするわけではありません。自然豊かな土地を、二泊三日

程度で、ただひたすらに歩くのです。私も何度か挑戦しましたが、今も目を閉じれ

ばその時の光景と、心の状態が蘇ってきます。

 自然行では、からだが疲れた時に、何も考えない、なにも思わない状態を比較

 的つかみやすくなります。すると、心のなかに「静かな喜び」が満ちてきます。

                      素心学要論(モラロジー研究所)

田植えをしたばかり田んぼの水がキラキラ輝き、一直線にのびた広域農道の坂道の

先には真っ青な空が広がっていました。疲労と共に思考が停止し、自身の小賢しい

考えがうすれ、このままどこまでも歩いて行けそうな感覚です。また自分も大自然

の一部に過ぎないのだという思いと共に、いまならどんな不都合なことも受け入れ

ることができそうだと感じました。自然行は「心のクセ」を無意識のうちにうすれ

させてくれるようです。これからも身近な人から「年をとって丸くなった」と言わ

れるように「心の置きどころ」を探しにいこうと思います。ありがとうございます。

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