E'b vol.95
vol.95 不易流行
20歳でこの道を選び、気がついたらもう25年です。駆け出しの頃は、仕事は何ですか、
と問われた際には”美容室で働いています”と答えていました。”美容師です”と言える
ようになるまでに5〜6年はかかったと思います。覚えの悪い私は、シャンプー、パーマ、
カラー、カット、といった技術を人の倍ぐらい練習することで、少しずつ身につけ、お客
様の笑顔から勇気を頂いたおかげで、美容師になることが出来ました。しかしこの道に限
らず、過去に習得した技術だけで、一生渡って行けるほど世の中は甘くないでしょう。ニ
ーズは絶えず変化し、実現するための方法もまた、新たに生まれてきます。今まで出来な
かった事が出来るようになる。私はハサミを握ってサロンに立つからには、あと30年ぐ
らいは、それを面白がって、ワクワクしながら飛びつき、深め続けていきたいなあ、と思
っています。
不易流行 「不易」 永遠に変わらない、伝統や芸術の精神
「流行」 新しみを求めて時代とともに変化するもの(松尾芭蕉が提唱した俳諧理念)
その後、breathを開業してからは”美容室をしています”と答えるようになり、いつしか
”美容室を経営しています”と言えるようになりました。俳諧において、変えてはいけな
いものと、変えなくてはいけないものがある、という事を芭蕉は示しました。具体的に何
を変えていいのか、いけないのか、俳句の世界の事はわかりませんが、美容室の経営にお
いては、時代と共に変えなければいけないものは、専門性(知識、技術)であり、いつま
でも変えてはいけないものは、人間性(思いやり)であると言えそうです。年頭の個人面
談において、あるスタッフから、将来はお店を持ちたい、という抱負を聞きました。私は
その目標に向かうスタッフに対して、先を歩む経営者として大切にしていることを、しっ
かりと伝えるためにも、専門性においては、流行と共に技術をアップデートし続ける姿を、
また人間性においては、私自身が現在、欠けているところを正そうとする姿を、これから
も間近で見てもらおう。そのように思っています。ありがとうございます。
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