E'b vol78



vol.78  唯心所現


私は、妻が掃除好きという恩恵を受けて、結婚以来毎日ピカピカな部屋で、快適に過ごして

います。家中どこの押し入れや引き出しを開けてみても、全ての物がキチンと整理され整然

と美しく並んでいる光景は、誰が見ても大変気持ちがいいものでしょう。しかし、私や息子

が何か物を使った後に、それを所定の位置に戻すのをうっかり忘れたり、いいかげんな布団

の敷き方をしてしまったりすると、それはもう大変な事になります。そんな時、私はいつも

自分の至らなさを棚に上げて、何か少しでも思いどうりにいかないと、すぐに怒りだすのは

”人としての謙虚さに欠けているな”と口には出しませんが、その度に心で思っていました。

そんな折に先日、定休日を利用して、朝から妻とお店の掃除をする事になりました。店内を

隅々まで、二人でひたすらに一日中掃除をしていると、開業以来積み重なるように増した不

要な物を、さっぱりとはらい除くことと同様に、私の心のクセ(自我、業)も少しは、まっ

すぐになったのか、ある思いが私の心の中に湧いてきました。それは妻に対して”素直に感

謝しなきゃ”という思いでした。

       唯心所現  心の状態そのままが身のまわりにあらわれる

仏教における”唯心所現”の言葉のように、心の状態を、常に美しく整えていたい。妻の心

の奥深くにある、潜在意識の中には、そのような純粋な思いが脈々と流れているのかもしれ

ません。そしてその心の状態が、現在の我が家の状態に、そのままあらわれているに違いあ

りません。それに対して私は、自身の散らかった心の状態を、そのまま不快さを与える行動

にあらわしたうえに、妻に対しては自分勝手な解釈による、見当違いな決論付けまですると

いう有り様でした。これからは、明らかになった、至らない自己を正すとともに、いつもピ

カピカに掃除をしてくれる妻に対して、素直に感謝しよう。そのように意を新たにいたしま

した。ありがとうございます。

0コメント

  • 1000 / 1000